第263章

野呂栞が現れたのは、島宮奈々未にとって本当に予想外だった。

「モスクワに行くんじゃなかったの? 夜8時の便でしょ。今ごろ機内にいるはずなのに、なんでここにいるの?」

島宮奈々未は驚きながらも嬉しかった。野呂栞と白井小鳥が帰ってしまうのが、どうしても寂しかったのだ。

野呂栞は前髪をふっと吹き上げ、ぷりぷりしながら言った。

「どこの成金か知らないけどさ、モスクワ行きの便を全部買い占めたのよ。だから飛べなくなった」

島宮奈々未は目を丸くする。そんなこと、ある?

白井小鳥が周囲を見回して言う。

「式はいつ始まるの? 川崎正弘が見当たらないけど」

言われて、島宮奈々未もようやく気づいた...

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